■■■概要■■■    
   

 

 オール・アバウト・ティー(1935年刊行)

者ウイリアム・ユーカースは、本書執筆の25年前に東方の茶産国を訪問以来、茶に関する資料の収集を開始し、以後各国の図書館、博物館をめぐり、また、各茶生産国へも1年にわたる調査旅行を敢行し、これらの収集資料を12年の歳月をかけて整理しました。
本書は2巻、54章、約1200ページに渡り、世界の主要茶類一覧表、500件を記述した歴史年表、425語を説明した茶辞典、2000冊に及ぶ茶の書籍目録
、一万項目の索引などを含むかつて類例を見ない茶全般について記述した大著です。全ての記載は原典にあたり、不得手な科学、技術などの分野は専門家に依頼するなど、内容的にも極めて確度の高いものと評価されています。
著者は、お茶を歴史面、技術面、科学面、商業面、社会面、芸術面の六分野にわけて著述しています。

史部門では、第一章に、世界の茶の起源を取り上げ、紀元前2737年の伝説に現れる茶の起源説から、紀元前550年孔子の著作に見られる記述を紹介し、史料として信頼できる紀元350年の記録などについて書かれ、日本の茶の起源も細かく史料にあたって、著述しています。2章では『茶経』のダイジェスト版をはじめて英文で紹介されています。3章 世界への茶の伝播では、世界へどのような流れでお茶が伝わっていったか興味深く読んでいけるでしょう。4章は、ロンドンのコーヒーハウスの話。5章は、茶税との闘いとアメリカへの移入。6章は東インド会社。7章はティクリッパーの競争。その他、ジャワ、スマトラ茶の発展、インド、セイロンの茶、その他の国々の茶の歴史が詳細に記述されていて、写真も当時のものが多く、非常に史料価値が高いと思います。

術部門では、各種の茶の特徴から貿易上の価値、茶の審査方法や水の重要性が述べられ、さらに各産地別に茶の特徴を細かに示した一覧表が添えられています。日本については、積出港から、茶種(玉露、碾茶、煎茶、番茶、ほうじ茶)の説明があり、茶業者にとっても得るものが多いのではないでしょうか。そして、中国、日本、台湾、ジャワ、スマトラ、インド、セイロン及びその他の国の茶の栽培と製造について詳しく記述されています。気象および土壌条件、栽培、摘採、製造、仕上げ、生産コスト、さらには試験研究機関の予算内容まで記録されているのには驚きます。茶工場の技術の歴史も写真入で大変興味深く見ることができます。

学部門では、茶の語源。陸路主にアジアに広まった広東読みの「chah」とヨーロッパに入ったアモイの方言「tay」について。茶の植物学では、どのように植物分類がなされてThea sinensisになり、その後Camelliaに変わって今日にいたっているかが述べられています。茶の化学、茶の薬理学については、インド・トクライのインド茶業協会の化学者が担当していて、筆者が得意でない分野では、その分野の専門家に記述させるなど、充実した内容になっていることがわかります。しすて、茶と健康についての新聞記事や報文の要旨が55題も、まとめて見ることができます。

業部門では、中国、オランダ、英国、日本、台湾、その他の国々における茶の貿易の歴史を現地取材を経て得た史料も加えながら詳しく述べています。日本については一章を割いて紹介されています。初期の貿易、茶輸出港から、1885年以降の年代別貿易の変遷、日本の著名な茶商会、日本の茶業組合などを一覧で紹介しています。
特に16章は780年(陸羽の『茶経』)から現在までの茶の広告の歴史が多くの写真とともに紹介され、日本がどのように世界戦略を練ったかも記されていて、デザインの観点からも興味を持って見ていただけると思います。

会部門では、会生活における茶の歴史について、初期の中国、日本、オランダ、英国、アメリカではどのようにお茶が飲まれていたか。19章 日本の茶道については一章を割いて詳細に記されています。19章については、世界お茶祭り2004で、翻訳注釈本の発表をさせていただきました。さらに、他章で、18世紀ロンドンのティーガーデンでの楽しみから、初期の飲茶習俗、チベットでの飲茶、日本のお茶つぼ道中、アフタヌーンティーの始まりなどから、さらに現在の世界の喫茶習俗、喫茶道具の変遷、湯沸しからティーバッグまで。さらに科学的な茶の入れ方や買い方の解説もあります。世界のお茶のレシピは、多くの方の興味をひくところでしょう。

術部門は、茶に関する文芸作品や絵画、音楽(楽譜)、著名な茶器の紹介があり、写真を眺めるだけでも楽しんでいただけます。

   
   
   
   
   
   
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